トヨタアクアでのザリ音について、原因検証と修正作業
トヨタのコンパクトハイブリッドカー、アクアです。
「段差を乗り越えるたびに『ザリッ』と音がして、気持ち悪いので見てもらいたい」
とのご依頼をいただき、診させてもらいました。
ノイズ対処のご依頼です。
純正システムですと、古い車でない限り、ノイズは考えにくいです。
車両を拝見しましたところ、
市販ナビとフロントスピーカーと外部アンプが付いているようです。
オーディオの他には、高価なセキュリティが付いていたり、総額70万ほど掛けておられるとか。
近隣のショップ様へご依頼されたようです。
「段差でザリッという音」ということは、接触不良が考えやすいです。
機器設置位置を確認し、アンプ関連の接続を確認します。
第1の原因は早々に発見
運転席下に外部アンプとバッシブネットワークと呼ばれるスピーカー用回路がありました。
運転席を外して作業スペースを確保、「さて診てみますか」という矢先、バッシブに接続されているスピーカーケーブルが外れ掛かっているのが容易に見えました。
触る(持つ、ではありません)と、ポロッと外れてしまいました。
接触不良の原因が見つかりました。
原因は1ヶ所だけとは限らず、同じレベルの作業を行っているでしょうから、アンプとスピーカー関連は総チェックの必要を感じました。
パッシブの他の線も、予想通りユルユルでしたので、しっかり再接続します。
なぜか外部アンプ関連の線は正常でした。
メーカーがカシメている部分ですから、当然といえば当然ですが。
ドア内もチェック
ドア内装を外して、スピーカーの取り付けや接続状態を確認します。
スピーカーの姿が確認できました。
固定状態を確認するため、ドライバーで固定ネジを触ると、あれれ?右に回ってしまいます。
言い方を変えれば、「まだまだネジが絞め込める、固定が甘い」ということです。
ユルユルな固定だと、ネジが抜けてスピーカーが脱落したり、スピーカーが外れたせいでケーブルの端子が抜けたり、ケーブルが切れたりしてアンプを破損したり、最悪の場合は車両火災まで可能性があります。
スピーカー固定台座も確認
一旦スピーカーを外して、ケーブルや端子の状態を確認します。
スピーカーケーブルも交換しているようです。
端子が若干ユルめだったので、再度カシメて、ガッチリ接触させます。
スピーカーの固定台座(板)は専用でMDFと呼ばれる木材の粉を接着剤で固めた素材にて製作しているようですが、隙間が開いてしまっています。
いわゆるデッドニングも施してありましたが、隙間が開いていては効果半減で、あまり意味がありません。
スピーカー近辺に隙間があると、スピーカーの前後に音が抜けてしまい、音が打ち消しあってしまいます。
固定台座とドアを鉄板間の隙間を塞ぐだけで音が良くなりますので、塞いでおきます。
台座とスピーカーをガッチリ固定し、今度はスピーカーと内装の間にある隙間も塞ぎます。
木材製台座は将来的に心配な面もあり
この車両で台座に使用しているMDFは、加工しやすい面もあり、多くのショップ様が使われるようですが、吸水性が高いので、水が通るドアに使うには徹底した耐水塗装が必要です。
表面だけでなく、ネジ穴にも処理が必要です。
水が入ると経年変化でブヨブヨになり、ヤワヤワでユルユルになり、固定台座の意味が無くなります。
台座の経年変化を迎える前に、素材変更をした方がよろしいかと存じます。
弊社では、経年変化を考慮して、基本的に木材の台座は使用しておりません。
片側施工して左右聴き比べましたが、全然音が変わり、良くなりました。
不具合修正しての音変化
両方修正し、再度試聴すると、「同じ機材なのに全然違います!」とお喜びの声をいただきました。
接触不良だったり固定がユルかったり隙間が開いていたりしたので、良くなって当たり前です。
取り付けしたショップ様に何度か不具合を見てもらったそうなのですが、一向に改善せず、3年ほどお悩みだったとか。
気の毒で、残念です。
翌日、「不具合が消えて快適」とのご連絡をいただきました。
弊社での作業前は、年中段差の度に「ザリッ」が出ていたようです。
本来の音をお楽しみくだされば幸いです。
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